神社婚の流れをかいつまんで説明すると、参進の儀→三献の儀→玉串奉奠などです。聞いたことがある言葉もあるけれど、実際にどのようなことをするのか不安な方も多いのではないでしょうか。
この記事では、神社婚の基礎知識から費用、メリットまで広くお伝えしていきます。他の結婚式との違いを知りたい方も必見です。
■神社婚とは? 基礎知識と費用
神社婚とは、神社結婚式の略で、日本の伝統的なスタイルで行われる結婚式のこと。
「三々九度」や「玉串奉奠」といった流れを通じて、日本の神様に結婚の報告をします。「神前式」と呼ばれるのが一般的です。
以下では、神社婚をするなら知っておきたい基礎知識と他のスタイルとの違い、費用をまとめました。
◇ 神社婚の起源・場所・衣装
神社婚(神前式)の起源は、室町時代の武家の結婚式にあると言われています。当時は主に新郎の自宅にある床の間で行われていましたが、明治33年に大正天皇の結婚式に取り入れられて以降、神社で行うスタイルとなりました。そこから第二次世界大戦を経て、一般の人々にも広まったと伝えられています。
また、神社婚を挙げる場所と着用する衣装は以下のとおり。
神社婚をする場所:神社、ホテル・結婚式場内の神殿
着用する衣装:新婦…白無垢、色打掛、引き振袖(黒)/新郎…紋付き袴
神社婚は神社だけでなく、神殿のあるホテルや結婚式場でもとり行えます。この場合、そのまま披露宴を同建物内で行う流れが一般的です。
また、神社婚といえば白無垢のイメージがあるかもしれませんが、色打掛や黒の引き振袖も着用できます。新郎は黒の羽織に黒、もしくは茶色の袴を合わせた紋付き袴スタイルが正装です。
◇ 他の結婚式との違い
神社婚と他の結婚式の違いは、場所や衣装のほか、ゲストや目的にあります。そもそも結婚式の主なスタイルは、神前式・教会式・人前式の3つです。
それぞれの違いは以下のとおり。
和装を身にまとい神社や神殿で行われる神前式に対し、教会式は洋装に身を包んでチャペルで行われます。ゲストにも大きな違いがあって、神前式では新郎新婦の両親や親族が中心となる一方、教会式は友人・知人、同僚・上司など自由に招待可能です。
神様を前にするという点では神前式も教会式も同じですが、人前式は神様と関係のないところでとり行われ、場所や衣装、ゲストもすべて自由という違いがあります。
◇ 神社婚の平均費用は「首都圏で30万円前後」
平均費用は30万円前後ですが、会場によって大きく差があります。式のために貸し切りにしなければならない神社に対し、専門のホテル・結婚式場内の神殿でとり行う方が比較的リーズナブルです。
■ 神社婚のメリット
神社婚には日本の伝統的なスタイルで式ができるほか、家族間にも嬉しいことがあります。ここでは、神社婚のメリットを3つチェックしていきましょう。
◇ (1)日本の伝統的な式ができる
日本に古くから伝わる伝統的なスタイルで、特別な日を迎えられるのが神社婚のメリットの一つ目。神社婚は神道に則って行われ、日本ならではの文化を体験できます。神社を貸し切って格式高い儀式をとり行う経験は、おそらく人生で二度ないことでしょう。
◇ (2)夫婦・家族間の絆が深くなる
神社婚は新郎新婦だけでなく、両家の家族の絆も強くします。教会式では「誓いのキス」や「指輪の交換」はあるものの、親族の絆を深めるシーンはそう多くありません。
対して神社婚では、親族間で同じ盃を飲み交わす儀式があります。さらに新郎新婦と親族が一緒のタイミングで入場するなど、家族間の結びつきをより感じられるのが神社婚なのです。
◇ (3)和の趣ある白無垢を着用できる
新婦側のメリットとして、白無垢を着用できることも挙げられます。真っ白の衣装に綿帽子や角隠しといった特別感のあるスタイルは、和装での結婚式を検討している方なら誰もが憧れるのではないでしょうか。
和の雰囲気ただよう神社が和装姿をさらに引き立て、また特有の儀式が所作の美しさを際立たせてくれるでしょう。
■神社婚を迎えるまでの準備
万全な状態で神社婚を迎えるためには、以下のような準備が必要です。
・神社婚についての情報収集
・神社や会場の見学
・見積もり&契約
・衣装選び
・打ち合わせ など
神社婚になじみがある方はそこまでいないはず。まず、雑誌やネットで「神社婚とはどのようなものか」をリサーチするところから始めましょう。大枠が掴めたら、神社やホテル・結婚式場の神殿にあたりをつけ、見学のための予約をします。
実際にいくつか見学して見積もりをとったら、お気に入りの会場に当日の空き状況を確認し、空いているようなら申込金を払って契約を交わしましょう。そこから打ち合わせを重ね、衣装やゲストの確認をしつつ、本番を迎える流れとなります。
■神社婚の流れ
神社婚の式自体にかかる時間は、おおよそ30分です。ただし、新郎新婦を含む親族は、式の前にヘアメイクや着付け、流れの確認をしなければなりません。式本番までの準備を含め、3~4時間程度はみておくと良いでしょう。
神社婚本番は、以下の11の流れで行われます。
◇ (1)参進の儀(さんしんのぎ)
控室を出発した新郎新婦と両親、親族、友人が列を成し、斎主と巫女の先導によって本殿へと向かいます。「花嫁行列」とも呼ばれる儀式です。
◇ (2)入場(昇殿)
斎主と巫女を先頭に、新郎新婦、媒酌人、両親、親族の順に本殿へと入っていきます。神殿を前に、向かって右側が新郎側、左側が新婦側です。
◇ (3)修祓の儀(しゅばつのぎ)
式を前に、心身を清めるためのお祓いです。一同起立して軽く頭を下げ、斎主の祓詞とともにお祓いを受けます。
◇ (4)祝詞奏上(のりとそうじょう)
斎主が祝詞(祝辞)をもって、神様に新郎新婦の結婚を報告し、二人の末永い幸せを祈ります。
◇ (5)三献の儀(さんこんのぎ)
新郎新婦が大・中・小の盃に入ったお酒を交互に飲み、夫婦の契りを交わす儀式です。「三々九度(さんさんくど)」や「誓盃の儀(せいはいのぎ)」とも呼ばれます。
◇ (6)誓詞奏上(せいしそうじょう)
新郎新婦が神前で夫婦となる誓い(誓詞)を読み上げます。
◇ (7)指輪の交換
新郎から新婦へ、新婦から新郎へ、指輪の交換を行います。
◇ (8)玉串奉奠(たまぐしほうてん)
神様への捧げ物として、玉串と呼ばれる榊の枝を神前に供えます。
◇ (9)神楽奉納(かぐらほうのう)★
巫女が夫婦の門出を祝い、舞を披露します。
◇ (10)親族杯の儀(しんぞくさかずきのぎ)
両親と親族との結びつきを祝い、順にお神酒を3口で飲み干していきます。
◇ (11)斎主挨拶(さいしゅのあいさつ)
挙式の無事の終了を、斎主が神に報告します。
◇ (12)退場
入場と同じ順番で本殿を後にします。
★……なお、神楽奉納については、神社の都合上行われない、もしくは三献の儀の後にくる場合もあります。
■神社婚の流れを把握して本番に備えよう
古くより伝わる神社婚は、花嫁行列や三々九度、玉串奉奠といった特別感のある流れで進行していきます。会場によって前後する部分はありますが、憧れの白無垢に身を包み、日本文化を体感できるのがメリットです。
また、他の結婚式のスタイルより、家族間の結びつきをより感じられることも見逃せません。式の内容はやや複雑ですが、流れをしっかり把握しておけば問題ありません。親族の仲が深まるあたたかい式を目指すおふたりは、ぜひ神社婚に注目してみてください。